Pythonで学ぶ「詳解 UNIXプログラミング」(その17) おしまい
以上でPythonで学ぶ「詳解 UNIXプログラミング」シリーズを終える。軽いネタのつもりで書き始めたが、サンプル一つ一つにきちんと目を通すのはなかなか楽しく、思ったよりも時間がかかってしまった。短期間にこんなにたくさんのos.fork()
を書いたのは初めてだ。
このシリーズを通じて、Pythonのシステム管理ツールとしての優秀さを再確認することができた。ほとんどのサンプルはPythonの標準モジュールだけで実装することができたし、C言語版に比べて非常にシンプルになった。また、対話環境で手軽に実行し、その場で結果を確認できるので、より幅広い実験を行うことができる。Pythonだけでなく、他のスクリプト言語でも同様だろう。id:syohex さんが Perlで学ぶ「詳解 UNIXプログラミング」(その0) - syohex’s diary を書かれているので、Perlプログラマは参照されたい。
細かいところでPythonの改善すべき点がいくらかあったが、これはパッチを作成して修正できるように努力したいと思っている。
私がこの本を初めて読んだのは1995年頃だった。あの頃は非常にすばらしい本だと思っていたが、何と言ってももう20年も前の本だ。今読み返してみるとさすがに古さは隠せない。無条件にお勧めの本とは言えなくなってきている。LinuxやPOSIXにまったく触れられていないのはさすがに厳しい。今時4.3BSDと言われてもなんの事やらだろうし、若い読者はSystem Vなんて聞いたこともないかも知れない。諸君、"System V"は"システムブイ"ではなく、"システムファイブ"と読むんだ。"SVR4"は"システムファイブ・リリースフォー"だ。2005年に出版された「詳解 UNIXプログラミング」の第2版ではこの辺が改善されているようだが、未だに日本語訳は出版されていない。
とはいえ、この本はまだまだ役に立つ。UNIXのシステム関数はほとんど変化していないし、多くのサンプルはUnbuntu Linux 10.10でそのまま実行することができた。UNIXのシステムプログラミングについて学びたいのであれば、まだまだお勧めの一冊であり続けることだろう。